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2012/11/28

【お知らせ】S.inc #3 「障害支援の開発最前線」参加者募集


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S.inc #3 「障害支援の開発最前線」

2012年12月8日(土曜日)17時~19時
東京大学 赤門総合棟
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障害はそれを蒙っている個人だけの問題ではなく、社会の問題として考える必要があります。
前回のS.inc#2で、安部博志先生がお話し下さったように、障害のある子ども個人や担任のみならず、
その子どもを取り巻く周囲の環境を変えたり、教材を工夫することがその子どもの発達や成長、
そして周囲の子どもたちの成長にも良い影響を与えます。
またそのような取り組みを通じて子どもの新たな一面や可能性が見えてくるでしょう。
特別支援教育でもICT教育が盛んですが、他にも多くの支援教材が世に出ていることをご存知でしょうか。

今回のS.incでは、特別支援教育の教材やAT(Assistive Technology)などに注目しました。
それらが果たす役割について意見を交わしながら、ケーススタディを通して、
個人の支援にとどまらないATや支援の在り方、教材や授業の方法などについて議論していきたいと考えています。

○日時
2012年12月8日(土)17時~19時

○場所
東京大学本郷キャンパス
赤門総合棟A208教室
集合場所については追ってご連絡いたします。

○定員
20名 ※申込み者多数の場合は抽選をさせて頂きます。

○対象
インクルージョンや障害児教育、特別支援教育、障害学などに興味を持っているなど…誰でも大歓迎です!
知識の有無は問いません。お気軽にご参加ください。

○参加費
無料

○お申込み
以下のフォームに必要事項を記入してください。
締め切りは【11月28日(水)】とさせていただきます。
詳細は折り返しご連絡させていただきます。
PC用 :https://mailform.mface.jp/frms/14194588/cxevxdhayimg
携帯用 :https://mailform.mface.jp/m/frms/14194588/cxevxdhayimg

○参加にあたってのご注意
本勉強会の様子は写真で記録させて頂きます。
写真記録はブログなどで実践報告として掲載する場合があります。

○問い合わせ
担当:楠見(yusuke[at]com-support.net)
勉強会に関する質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

○主催
NPO法人 CHUM(申請準備中)
代表 山田小百合 @salily1214
(東京大学大学院学際情報学府山内研究室修士2年)

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●S.incとは
「インクルーシブ教育」や「特別支援教育」の知識を深める勉強会です。月1で開催を予定しています。
担当:楠見友輔(東京大学教育学部 教育実践・政策学コース4年)
[Mail] yusuke[at]com-support.net

●CHUM(ちゃむ)とは
「ともにいきる社会のデザイン」を目指し、様々なバックグラウンドのある人々の活動の支援をすべく
学校・家庭・企業を対象に実践的研究やプロジェクトを展開していきます。
現在法人申請準備中。

2012/11/21

「障害者アート」はどこまで「コラボ」を可能にするのか

本日最終日だったアートビリティの展示に行ってきました。
http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/g8_exh_201210/g8_exh_201210.html

場所は新橋駅から徒歩数分の、クリエイションギャラリーG8というギャラリー。

アートビリティというアートバンクで活躍している作家さんと、グラフィックデザイナーさんのコラボレーション作品の展示です。
アートビリティという団体については詳細に紹介しません。下記URLをば!

▼アートビリティ
http://www.artbility.com/

もうね、一人で言ったくせに「すげえわー」とか言ってたただの不審者でした。私。
無料でこれはやばいです。行けなかった人、本当に残念すぎる。

ここでは「登録している作家のみなさんは、何らかのハンディキャップをもちながら、作品を制作しています。」との明記があります。
アートの分野では決して珍しくないでしょう。「エイブル・アート」という言葉を聞いたことがある人も多いかと思います。
障害者のアート作品ってのは、確かに個性が突出していて、見ていて驚かされるものばかりです。


こうした魅力的な作品を世に出していける何かしらのハンディを持った方々と、デザイナーとのコラボ、正直「やられたな」と思いました。
ただでさえ魅力的な作品が、芸術作品にとどまるでもなく、プロダクトにも使われる可能性を可視化したのかなと思うのです。


今回のアートビリティの作家さんの作品を見ていて、ハンディがどうとかは置いといて、「なんでこの線がかけるんや…」「なんでこの色使いができるんや…」という感想を持ちつつ、
これを更に組み替えたデザイナーさんとの作品が、また違う味を出している。確実に「デザイン」し直されている。これがまたうまいのです。しっかりその作品と対話して、何を組み替えるべきか、捉えてる感じ、さすがプロ。
でもやっていることは、その作家さんの作品を組み替えたり、位置づけたり、加えたり…と、とてもシンプルなんですよね。コラージュ作品のようなイメージです。
組み替え方でここまで魅力が増すのかーと思って居座ってしまい予定していた予定を切ることに。
(全然何も言えてないですね。こういう作品は言葉に出来ないということでご勘弁ください。笑)

こうして組み替えられたものを見ると、「あ、こういう作品ってこういうシーンで使えるかもしれないのか」という、具体的な生活シーンでの活用へイメージが生まれていく。
エイブル・アートがどこで活用されて、市場に出まわり、私たちの生活を豊かにしてくれるのか、考えが膨らみ、わくわくしてしまいました。
「障害者のアート」というハードルも低くなるし、アートに興味がなくても、市場に出回れば、興味のない人にも関心を持ってもらいつつ届くかもしれないし、なんだかわくわくしませんかね。


会場でアンケートに答えると、コラボ作品のブックカバーのプレゼントをいただけるとのことで、迷いに迷って選んできたのがこちらです。使うのもったいなさ過ぎてどうしよう。


エイブル・アートだけでも「やられた」と思うものが多いのに、アーティスト・デザイナーとのコラボで更に可能性が見えました。
単純にこの作品が生まれるプロセスはかなり重要だと思います。どういうプロセスで芸術作品が生まれ、かつその作品や作家さんとどうデザイナーさんが対話し、組み替えていったのか。「どこまで」それが可能なのか、考えて見る余地はありそうです。
同時に、今私が研究で扱うのは、このコラボレーションの「プロセス」をもう少し追ってみたいなという観点では近いなと思うのです。
今準備中の法人も、その部分に注目して、「どこまでコラボができるのか」を考えながら現場を生み出してみたいなと思っています。

 ▼

先述した通り、「ハンディのある人」という明記がありますが、逆に、これがハンディのある人の…という表記がなかったらどうなっているんだろうと、よく考えます。


こうしたいわゆる「障害者アート」というものを、世の人はどう捉えるか、何パターンかがあると思うのです。

1つ目は、純粋にアートが好きで、それらの作品に芸術作品として魅了されている人。
2つ目は、障害のある人の活動という観点で興味がある人。
3つ目は、障害者がこんな芸術作品を発信してすごい!という「障害ファースト」な人。
4つ目は、障害者のアートだからこそ興味がわかない人。
最後は、そもそもアートに興味のない人

ざっくりこんなかんじでしょうか。賛否両論あるかもしれないけどぱっと思いつくのはこんなかんじです。
1つ目の人はいいですよね。多分こういう展示があれば勝手に見に行くだろうと思うし、お金のある方は作品も買っちゃうでしょう。
2つ目の人は、アートというより「障害」「福祉」などのキーワードに関心がある人が多いのではないか、ということです。
3つ目の人は、詳しくは述べませんが、賛否両論問われる立場なのかなと思います。
4つ目の人は、「エイブル・アート」として発信されていることに対して何か思うことがあるのではないでしょうか。
最後5つ目の人は…言葉のとおりです。(笑)

これらの立場のどれが好ましい、ふさわしいか、ということを言いたいのではありません。
これらは個人的なことだと思いますし、作品のありかた、イベントの見せ方も様々であるので、どれでもいいと思いますし、イベントによって違うでしょうし、正直、誰にだってどれも当てはまると思うのです。全否定はできないと思います。


この5段階の人へのアプローチをどう考えるかってすごく重要だなとこの展示をみて思ったのです。
結構「障害者のアート」をどのように見せるかというのもそうですが、
「障害者のアート」に対する多くの人のイメージがどうなのかを探ることが単純に重要なのではと個人的に思うのですが、みなさんはどうですかね。
それは「障害者」という部分をとって、「アート」の文脈にも応用可能だと思います。「アート」に対してハードルの高い人は、何を「高い」と感じているのか。

とにもかくにも、見に行かれた方の感想、ぜひ伺いたいです。

さて、どうハードルを下げたかどうかを考える前に修論を書く必要があるので(笑)、続きはまたいつか。いつ書くかもわからないということで!

とにかく、すごく有意義でした。修論執筆における荒々しいメンタルをどうにかせねば…と思っていた所、とても刺激を受けました。
修論提出まであと50日くらいしかない。

2012/11/02

【お知らせ】人工知能学会 言語・音声理解と対話処理(SLUD)研究会にて発表します。

先日のワークショップ3連続開催も無事に終了し、当日記録させて頂いたデータを分析し始めました。
総勢約45名の小学生に集まってもらい、わいわいしてもらいました。親御さんの満足度も高く、個人的には安心しています。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。

実践が無事に終了したところで安心するわけにはいかず、データがちゃんととれているのか、というのが、現在命の次に大事なものなので(笑)、まだ全部のデータを見れてないのですが、少々心配しています。

そのワークショップの実践について、人工知能学会の言語・音声理解と対話処理(SLUD)研究会(at 東大本郷キャンパス 福武ホール)にて、発表をさせていただく機会をいただきました。今回は「ワークショップにおける知の共有化」がテーマだそうで、ワークショップを研究されている方々が登壇されます。
私は「ワークショップにおける自閉症児と健常児の社会的相互作用の評価」というタイトルで13:25から発表いたします。

発表者のみなさんの中で私が最年少なので少々(いや、かなり)ビビっていますが(笑)、ワークショップで自閉症の子どもが他者とどのようなインタラクションを営んでいるのか、いろいろなパターンをご紹介したいと思っています。



詳細:http://www.lai.kyutech.ac.jp/sig-slud/66th_sig_j.html


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人工知能学会 第66回 言語・音声理解と対話処理研究会 (SIG-SLUD)

日時:2012年11月9日(金) 12:25-18:50
会場:
 東京大学情報学環福武ホール ラーニングスタジオ1,2
 (〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1)

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タイムテーブル

12:25-12:30 オープニング
12:30-13:00 一般セッション(1件)
13:00-13:05 休憩
13:05-14:50 特別セッション(一般発表(2件)+招待講演(1件))
14:50-15:00 休憩
15:00-16:45 特別セッション(招待講演(1件)+一般発表(2件))
16:45-16:55 休憩
16:55-17:55 特別セッション(一般発表(3件))
17:55-18:05 休憩
18:05-18:45 パネルディスカッション
18:45-18:50 クロージング

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プログラム

・招待講演は1件60分(発表・質疑)
・口頭発表(一般セッション)は1件30分(発表20分・質疑10分)
・口頭発表(特別セッション)は1件20分(発表15分・質疑 5分)

[12:25-12:30] オープニング

[12:30-13:00] 一般セッション(1件)

12:30-13:00 「軽度認知症高齢者のための情報支援システムにおける不適格
       発話に頑健な談話行為識別」
       佐土原 健,児島 宏明(産業技術総合研究所),成田 拓也,
       二瓶 美里,鎌田 実(東京大学)大中 慎一,藤田 善弘(日本
       電気株式会社),井上 剛伸(国立障害者リハビリテーション
       センター研究所)

[13:00-13:05] 休憩(5分)

[13:05-14:50] 特別セッション(一般発表(2件)+招待講演(1件))

13:05-13:25 「即興ダンス表現ワークショップの教育的効果」
       中野 優子,岡田 猛(東京大学)

13:25-13:45 「ワークショップにおける自閉症児と健常児の社会的相互作用の
       評価」
       山田 小百合(東京大学)

13:50-14:50 招待講演
      「演劇ワークショップを成り立たせる諸要素についての実践的
       経験からの考察」
      花崎 攝(演劇デザインギルド)

[14:50-15:00] 休憩(10分)

[15:00-16:00] 特別セッション(一般発表(3件))

15:00-15:20 「子ども・若者のもめごと・対立解決のためのワークショップ
       実践」
       田中 圭子(NPO日本メディエーションセンター)

15:20-15:40 「料理を題材にしたサイエンスコミュニケーション『キッチン
       サイエンス』」
       内田 麻里香(東京大学)

15:40-16:00 「実践的なキャリア教育活動のためのワークショップと学習成果
       共有の仕組み」
       朝川 哲司(青山学院大学)

[16:00-16:10] 休憩(10分)

[16:10-17:55] 特別セッション(招待講演(1件)+一般発表(2件))

16:10-17:10 招待講演
      「ワークショップ知の共有」
      苅宿 俊文(青山学院大学)

17:15-17:35 「『コミュニケーション実践のコミュニケーション科学』の
       ための試論」
       高梨 克也(科学技術振興機構さきがけ/京都大学)

17:35-17:55 「参加型ワークショップを理解する視点」
       石崎 雅人(東京大学)

[17:55-18:05] 休憩(10分)

[18:05-18:45] 総合討論(「ワークショップにおける知の共有化」)

[18:45-18:50] クロージング

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2012/10/03

子ども向けのワークショップをより魅力的にする特別支援教育の視点

修士論文提出まで残り3ヶ月…となりました(あまり向き合いたくないですが(笑))。

念願かなってのワークショップを3日間、小学校低学年向けに開催します。

詳細・申し込みはこちら:http://sayucham.blogspot.jp/2012/09/camp.html


これまで3月・5月と実践をしてきて、模索し続けた結果、
今回のワークショップを開催するにあたり、CAMPさまのご協力をいただき、CAMPで大人気のワークショップ「CAMPくうそう・しょくぶつ・図鑑ワークショップ」を開催することになりました。

CAMP:http://www.camp-k.com/


実は今年の3月、直島での研究室合宿の帰りに、ひとり大川センターへ立ち寄り、「鳥見小学校ステップ教室クリケットワークショップ」を見学させていただいたのでした。
http://www.camp-k.com/wsreport/784/

ステップ教室はいわゆる「通級教室」のことです。

見学させていただいたときに、子どもたちを見ていて「ワークショップだと、学校で発散できないことが発散できていて、学校では見られない楽しそうな姿を見せてくれる」と感じました。
先生が「これは多分当日難しい」と思っていたことが、ワークショップ中だとできたり、ケンカを絶対しそうなグループ活動でケンカをせずグループ活動ができたり、いつもより集中力が続いたり…

ワークショップの威力はここで発揮されるな、と改めて感じた実践でした。
いや、むしろこの領域とワークショップは相性が良いと再確認させていただいたと言ったほうが良いかもしれません。



障害のある子どもが参加できるワークショップなどの活動は、実は、普段「子ども向けワークショップ」を運営するときの基本的なポイントに、少々の配慮を加えるだけでも、十分楽しく学びのある活動をデザインすることが可能です。

普段ワークショップをするとき、何時に何をするよという事前説明をしますよね。
また、その活動にハマってもらうために、ものの配置に気を使ったり、余計なものは置かなかったりしながら「このワークショップのための空間づくり」をするでしょう。

この2点は、当たり前のように行われていますが、実はとても重要だったりします。
このポイントについて少し書いてみようと思います。。

1点として、事前提示をし、時計を置いて、細やかな活動の流れを提示する。活動の見通しを立てるということです。
基本的にどんなワークショップでも「何時にこれをして、何時にこの活動をするよ」というスケジュールを提示していますが、これが発達障害のお子さんには、想像以上に安心感を与えます。
発達障害のお子さんが何かの活動に参加するときに、参加するのに時間がかかったり、パニックになってしまうことはよくあると思います。それは、この先何をするのかわからないから、不安になって、パニックになってしまうことが多いのです。
逆にいうと、見通しさえ立てれば、子どもたちへの参加のハードルは1つクリアになりますね。これは障害の有無にかかわらず、どんなお子さんにも嬉しいことです。

2点目の視覚に配慮した空間設計。ある活動をするために、何を使って良いのか、今はどこに集中したら良いのか、ということを、視覚的に見せることがポイントです。
例えば、余計な机、その日使わない機材など、置いてあると子どもたちの注意が拡散します。あれもこれも目に入って、活動に集中できない。
最近だと、「黒板の周りに掲示物を貼らない」教室も増えて来ましたね。
つまり、集中して欲しいところに集中してもらうために、余計な刺激物をなくした、ということです。
(ちょっとさみしいという人もいそうですね(笑))

あとは、特別なニーズのある子どもさんにプラスαの配慮をすれば、十分プログラムを運営できます。
逆に言うと、これさえ整えたら、どんな子どもにも、よりHAPPYな活動になりますよね。
長くなりそうなのでひとまずここでやめておこう。

ということで、CAMPワークショップとのコラボで実施するワークショップ、お誘い合わせのうえ、ぜひぜひご参加ください!
CAMPのワークショップがこんなに開催されることはないですよ◎

詳細・お申込みはこちら:http://sayucham.blogspot.jp/2012/09/camp.html




2012/10/02

【参加者募集】勉強会S.inc #2 「学校現場におけるインクルージョンとコーディネーターの仕事」


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S.inc #2 「学校現場におけるインクルージョンとコーディネーターの仕事」

2012年11月3日(土曜日)17時~20時
東京大学 教育学部棟
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近年、インクルーシブな社会への第一歩として、
障害の有無にかかわらず、すべての子どもが同じ場で学び合うことのできるインクルーシブ教育の必要性が叫ばれています。
しかし、どのような実践が教育現場で行われているのか。特別支援教育との関係性は。などの疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。

前回の勉強会ではインクルージョンについて考えるために「排除(エクスクルージョン)」とは何かについて参加者で議論を行いました。
インクルージョンの理念の追求には多様な考えを持つ人々と議論を続けていくことが重要であることを再確認することができました。

さて、今回の第2回S.incでは、日本のインクルーシブ教育の第一線でご活躍されている安部博志先生をゲストにお呼びします。
現在のインクルージョンの動向、文京区のインクルーシブ教育の実践事例などについて、現場の立場からお話していただきます。

第1回勉強会の参加の有無は問いません。興味のある方は奮ってご参加ください。

*安部博志先生
筑波大学非常勤講師。その他、筑波大学付属大塚特別支援学校支援部長、文京区専門家チーム、特別支援教育士、学校心理士、特別支援教育コーディネーター。特別支援教育の現場に関わり続け、平成22年度文部科学大臣優秀教員表彰受賞。
著書に 『発達障害の子供の指導で悩む先生へのメッセージ』(明治図書)や 、『特別支援教育Q&A支援の視点と実際』(2009)ジアーズ教育新社など。

○日時
2012年11月3日(土)17時~20時

○場所
東京大学本郷キャンパス
教育学部棟358教室
集合場所については追ってご連絡いたします。

○定員
20名 ※申込み者多数の場合は抽選をさせて頂きます。

○内容
特別支援コーディネータの仕事内容
現在のインクルージョンの動向
文京区のインクルーシブ教育の実践事例

○対象
インクルージョンや障害児教育、特別支援教育、障害学などに興味を持っている方は誰でも大歓迎です!

○参加費
無料

○お申込み
以下のフォームに必要事項を記入してください。
締め切りは【10月24日(水)】とさせていただきます。
詳細は折り返しご連絡させていただきます。
PC用 : https://mailform.mface.jp/frms/14194588/kt4qgepgwtmp
携帯用 : https://mailform.mface.jp/m/frms/14194588/kt4qgepgwtmp

○問い合わせ
担当:楠見(yusuke [at] com-support.net)
勉強会に関する質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

○12月以降の予定
安部先生のお話やその他の事例からテーマを設定し、参加者で排除やインクルージョンについての議論を深めていきます。

○主催
NPO法人 CHUM(申請準備中)
代表 山田小百合 @salily1214
(東京大学大学院学際情報学府山内研究室修士2年)

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●S.incとは
「インクルーシブ教育」や「特別支援教育」の知識を深める勉強会です。月1で開催を予定しています。
担当:楠見友輔(東京大学教育学部 教育実践・政策学コース4年)
[Mail] yusuke [at] com-support.net

●CHUM(ちゃむ)とは
「ともにいきる社会のデザイン」を目指し、様々なバックグラウンドのある人々の活動の支援をすべく
学校・家庭・企業を対象に実践的研究やプロジェクトを展開していきます。
現在法人申請準備中。

2012/09/30

【参加者募集】小学校低学年向け:CAMP くうそう・しょくぶつ・図鑑ワークショップ:参加者募集


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CAMP くうそう・しょくぶつ・図鑑ワークショップ
 at 東京大学 本郷キャンパス

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*写真提供:SCSK株式会社

なぞのしまからとどいた、見たこともないふしぎなタネ。
みんなのアイデアのちからで、ふしぎなタネからお花をさかせて、
すてきなしょくぶつずかんを作ろう!

*「CAMP くうそう・しょくぶつ・図鑑ワークショップ」とは
ふしぎなタネをきっかけにして、こどもたちの空想が未知の植物を育てるワークショップです。
こどもたちは、空想と現実の世界を自由に行き来しながら、ともだちと一緒にアイディアをふくらませ、形にしていきます。
当日作った図鑑は後日ご自宅に送付させていただきます!


●日時
下記の3つの日程から1日だけお選びください。
(1) 10月21日(日)12:45~16:00(受付終了しました)
(2) 10月27日(土)12:45~16:00(受付終了しました)
(3) 10月28日(日)12:45~16:00(受付終了しました)


●対象
小学校1年生〜3年生のおともだち


●定員
各日程 12名 ※先着順。定員になり次第締切ります。


●当日集合場所(12時45分 集合)
東京大学本郷キャンパス 福武ホール UTCafe BERTHOLLET Rouge前
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/

*ワークショップの会場
東京大学本郷キャンパス 工学部2号館92B教室
※集合場所からスタッフが誘導します。


●企画・運営
山田小百合(東京大学大学院 学際情報学府 山内研究室 修士課程)
1988年生まれ。大分県出身。日本女子大学家政学部家政経済学科卒業。研究テーマ
はインクルーシブ教育における学習環境デザイン。大学院では障害のある子もない子も楽しく参加できるワークショップや、インクルーシブデザインワークショップなどの実践・研究を行っている。
卒業後は実践・研究活動を繋ぐためのNPOを設立予定であり、現在申請準備中。


●その他の注意事項
本ワークショップは、修士研究の一環として行われます。以下の注意事項に承諾していただける方のみ、お申込みください。
・研究結果の報告でお名前などの個人情報が公開されることは一切ありません。また、研究で得られたデータは、研究代表者が厳重に管理し、ワークショップ終了後に破棄します。
・本ワークショップは未就学児の兄弟や保護者の方は参加することができませんのでご了承ください。
・本ワークショップの様子は写真や映像で記録させていただきます。これらの写真・音声・映像データは個人情報がわからない形で処理し、研究にのみ利用させて頂きます。目的外使用は致しません。
・本ワークショップは障害のある子もない子も参加できますが、障害のある子の募集は締切りました。ご了承ください。

●お申し込み
受付は終了しました。ご了承ください。

また、ご質問等ございましたら、下記連絡先にお気軽にご連絡ください。


●連絡先(研究代表者)
山田小百合(東京大学大学院学際情報学府 山内祐平研究室 修士課程2年)
Mail: qq116225 [at] iii.u-tokyo.ac.jp([at]を@に変えてお送りください)
Twitter: https://twitter.com/salily1214


●主催
東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 山内研究室
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/


●協力
SCSK株式会社 CAMP http://www.camp-k.com/

2012/08/21

日本の英語教育における「抑圧者」は誰?―パウロ・フレイレについて学習しました

先日(8月7〜9日)、山内研の夏合宿に参加してきました。
合宿もM0から数えて4回目の参加でした。

今年の合宿先は函館。気候もよく(過ごしやすい!)お魚美味しい!という贅沢なラーニングツアー!
そういえば私、北海道も初めてだし、何より、これまで日本で行ったことある最北端は東京っていうなんとも言えない感じだったので(笑)、最北端更新しました!

函館山からの夜景はとっても素敵でした!



さて、山内研夏合宿は、毎年恒例の「古典とされている教育研究者(デューイ、ピアジェ、ヴィゴツキーなど)をレビュー」ということで、昨年はヴィゴツキーを担当しましたが、
今年はブラジルの教育者、パウロ・フレイレ(1921〜1997)を担当しました。

■パウロ・フレイレ(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AC

フレイレといえば、第三世界における識字教育の実践で有名な方です。
簡単に略歴や行なってきた実践をご紹介します。
(興味がなかったらすっとばしてください)





ブラジルの貧しい地域で生まれたフレイレは、1929年の世界恐慌を経験し、更なる貧しい生活を強いられました。
そんな中彼は大学を卒業後、ブラジルのレシフェという街で、「民衆文化運動」を組織し、斬新な識字教育を展開していきました。

簡単に説明をすると、文字の読めない農村の労働者に対し、厳しい境遇を対話の中で見つめさせ(意識化)、その社会を変革していくための力として言葉の読み書きを学んでもらう、というものです。
各地域のごとに20人ほどのグループ(文化サークル)をつくり、その中にファシリテーターの役割のような人(教育系の学生さんとかだったらしい)が入り、学習の調整者となります。
そして対話のフェーズから読み書きを具体的に学ぶフェーズへ移行する、という実践を多く繰り返し、ブラジルで展開させたという人です。
(45日間で300人の労働者が文字を取得したんだとか)

この実践を背景に、フレイレは対話の中で課題を見つけていく教育スタイルとして「課題提起型教育」を推奨していきます。
これの対となるかたちで、従来の教師から生徒へ一方的に知識を教える教育を「銀行型教育」(教師が生徒にただお金を預金する、というメタファー)として批判しています。

ブラジルは過去にポルトガルの植民地であったこともあり、政治的な権力者の力が強く、農民や労働者たちは苦しい生活を強いられていたようです。
その農民や労働者たちのことをフレイレは「被抑圧者」と呼び、被抑圧者たちは文字を「搾取されていた」というふうにフレイレは認識していました。
こうして文化サークルにおける対話を通した識字教育の中で、この「被抑圧者」たちが主体的に変革を起こし、「抑圧者」も「被抑圧者」も同等にその状況を開放していく世界を目指し、識字教育の実践を行ったようです。

1964年に起こったクーデターにより、フレイレは国外追放をされ、チリに亡命しますが、チリでも対話型の識字教育の実践に励み、この実践はUNESCOの識字教育の思想に影響を与えているそうです。





フレイレが行った教育実践は、まずは農民たちを、権力者とことばを共有できるレベルにして、同等になるためのアクションへつなげる、ということですかね。
社会問題色の強い対話から、読み書きをすることの大切さを感じさせ、学ぶモチベーションを上げ、社会に対する意識も同時に上げた、とも言えるかな。

つまり、フレイレはその社会的状況や文化に応じて、学習に対する意欲を上げる仕掛けをしたと考えられます。

でもこれをそのまま日本に持ち帰ったところで何の意味もないわけですよね。
ほぼすべての国民が文字を理解しているので、識字教育としてのアプローチは難しい。そもそも社会的状況も文化も異なります。


フレイレの紹介はここまでにするとして、この発表をしたあとの議論でこんな話題が出ました。

日本人が英語を苦手とする背景には、何か「抑圧されたもの」があるのでは、というもの。

英語を学ぶ必然性を感じさせない「抑圧者」が存在するとも考えられますね。

ふむー!確かに!
これについて私は特に考えさせられて、実は数日もやもや考えていたのです。
私の中高時代の英語学習に対する「抑圧者」は誰やねん…!!!!!(おい)
…でも別に「搾取されていた」わけじゃないんだよなー。
でも、対話の中で「文字(英語)を搾取されていたんだ!」なんて思ったら、
私の学習意欲は高まるのかしら…(´・_・`)ふう

ということを繰り返していました。(※個人的に危機感はもたないとですが!!)


ただ、一つ考えたのは、文化サークルが学習コミュニティとしてしっかり機能していたのではないか、そのコミュニティが機能することにより、「抑圧的状況」を打破した…とフレイレの実践に対して考えました。
学習者は対話によって課題を共有しているので、共に学習意欲が高まり、それぞれの学習を支えあうコミュニティができあがっていた。20人という規模感もちょうどよかったのでしょう。

さて、今の教育現場に「学習を支えあうコミュニティ」はあるのでしょうか。

フレイレの実践は「文字の読み書きできないとまじでやばい!」という危機感を煽らせていますが、日本人の多くはその危機感を感じられる環境にあまりないですしね。
危機感を感じさせない抑圧者は誰なんでしょうね。


「みんなの前でネイティブの発音とか恥ずかしいし、クラスの権力者みたいなのが馬鹿にしたりもするし、別に日本語で十分だし…」というようなこと、今でもありそう…。
英語はもちろん、他の学習においてもそう。
今の教育現場は「何かに抑圧されている」のかもしれないよなぁ…なんてことをつらつら考えたりしてました。
みなさんはどうですか?




フレイレの話に戻りますが、こうした「革命的」実践が生まれるまで、フレイレは農村地域をフィールドワークしてまわり、いろんな人と「対話」をしたようです。
やっぱり良い実践をするために、良い実践を届けるためには、その現地の状況を丁寧に調べることが必要だよなぁ、なんて当たり前っちゃあ当たり前なことを思ったのでした。
私もNPOでこれから実践をしていくにあたり、何が課題で、誰が何を求めているのか、どういうふうに提供したら良いのか、相手の状況を聞いて対話して、しっかり現場を見つめて、取り組んで行かねばと思ったのでした。

そして修論提出まで残り半年を切ったのでした…




2日目のプログラムでは「フレイレ山田」になりました。(笑)

■【エッセイ】問題の意味を可視化して学習の離脱を防ぐ
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2012/08/post_389.html


■フレイレの実践について詳しく知りたい方はぜひこちらも読んでみてくださいね!




▼私のTwitterはこちら





2012/06/20

Ba Design Lab「多様性を活かすワークショップデザイン」実践報告

ワークショップの公開研究会「Ba Design Lab」の第3回「多様性を活かすワークショップデザイン」を6月5日に、研究室の先輩である安斎勇樹さんと一緒に開催しました。

Ba Design Labとは、安斎さんの主催するワークショップの方法論に関する公開研究会です。ワークショップの熟練実践家や研究者をゲストにお招きし、ゲストトーク・事例の検討・参加者同士のディスカッションなどを通して、学びと創造の場をデザインするための新しい知見や仮説を生み出すことを目的としています。今回は共同研究をさせてもらっている間柄として、共催という形で関わらせていただきました。ありがとうございました*

今回のゲストとして、インクルーシブデザインワークショップの実践者である塩瀬隆之さん(京都大学准教授)、コメンテーターにコミュニケーション戦略プランナーの田井中慎さん、ツッコミ役としてラーニングデザイナーの大西景子さんをお招きしました。さらに約40名の参加者の皆さんにお越し頂き、学生スタッフのみなさんのお力も借りながら、無事に開催することが出来ました。

今回のテーマは「多様性」。ワークショップにおける「多様性」をキーワードにしながら、多様性を活かすためのワークショップの方法論をみなさんと探求しました。




参加者が集まるまで、塩瀬さんが即興でプチワークショップをしてくださり、会場を和ませる塩瀬さん。その後、研究会の前半は、「インクルーシブデザインワークショップ」を数多くしてきた塩瀬さんから、貴重(であり笑いの絶えない)な事例報告をしていただきました。
■インクルーシブデザインワークショップ:特異なニーズを持ったリードユーザー(エクストリームユーザー)を巻き込むことで革新的なアイデアを見出すワークショップのこと


また、 "How to kill diversity ?"という問いから、多様性を打ち消してしまうようなフレーズ、方法は何かを考えてみるプチワークも挟み、逆の視点で多様性を考えてみるなどしながら、会場は盛り上がりました。

後半では、企業で数多くのワークショップを実施しているコメンテーターの田井中さんから、塩瀬さんの報告を踏まえながらコメントや関連事例についてコメントをいただきました。誰しもがエクストリームユーザーになり得るということ、そしてその可能性を排除しないことが重要ではないか、とのご提案をいただきました。さらにツッコミ役の大西さんから「”塩瀬さんになってみるワークショップ”でもやってみる?」と、研究会全体の流れにツッコミをいただき、さらに会場はヒートアップ。





大西さんのツッコミを受けて、当初予定していたプログラム(質問を元にしたパネルトーク)を中止し、明日から使える技を盗むため、全体でディスカッションを自由に行うことになりました。さらには飛び入りで中原研究室の先輩でもある舘野さんからも“「多様性」とは、多様な人を呼んでくるということではなく、参加者の多様性を見出し活かす、そして多様性を見出すのを待つということなのではないか。” とのコメントもいただき、企画側、ゲストも含む参加者全員が純粋に「学習者」となった後半戦でした。







詳細な中身については、安斎さんの報告をお読みください*

▷安斎勇樹 ポートフォリオ ≫ Ba Design Lab「多様性を活かすワークショップデザイン」実践報告
http://yukianzai.com/blog/2012/06/16/299/


学校教育における「多様性」

インクルーシブデザインの手法は、特別なユーザーをデザイン過程に巻き込むことで、革新的なアイデアの可能性が生み出されることを目的とします。あえて「違い」を明らかにする、ということ。それに関して、少し立場を変えて、私の修士研究の対象が「小学生」ということもあり、「学校現場での『多様性』」について考えてみたいなと思いました。

先日ある講義で、『学年制』と『等級制』についての話になりました。この2つの違いを現代に例えて言うとしたら、学校(義務教育)と塾の違いが言えるかもしれません。日本の義務教育は、ある決められた歳の子たちを1つの学年として捉えます。例えば1年間不登校になってしまった子が、その1年間の勉強を学校で受けていなかったとしても、基本的には次の学年に進級できるでしょう。逆に多くの塾では、習熟度別の学習が行われます。いわば今の子どもたちは等級制と学年制のブレンド状態の中を生きているとも言える、という話です。

ここでは『学年制』、今の年齢主義的な学校現場について扱ってみようと思います。ほとんどの人は、学校ならではの「揃う」という環境に慣れてきたのではないでしょうか。制服を身にまとい、同じ教科書を使って授業をし、校則に従い行動するよう言われる・・・これはある意味「差異を隠す」とも言えると思います。先生も「みんなと同じようにしなさい」と指示をすればいいのだから指導しやすいでしょう。さらに、先生として務める友人が、このように学校が差異を隠すのは、集団行動しやすくするためだ、という考察を別のところでたまたましていたのを見て、なるほどなぁと思っていたのです。基本的にはそのほうが協同しやすいのは想像に難くないでしょう。

もちろん、これ自体は決して悪いことではないですが、そうすると、多くの学校現場では「差異を隠す」ことが当たり前の中で、突然「異質な人」との協同を強いられたとき、混乱が起こるのではないでしょうか。揃えることに慣れている先生だけでなく、児童生徒はどうしたらいいかわからない。だから間違った方法でどうにかしてしまう。これが、今の学校現場の「交流及び共同学習」の現状なのではとも考えました。(「交流及び共同学習」とは、障害のある子どもが普通学級の子供らと学習するものであり、学習指導要領にも記載されています。)

しかしこれからの時代、外国人も増え、簡単にはくくれない人がさらに増加し、まさに「多文化共生社会」になる。「バックグラウンドが多様な人たちと創造力を活かし、コラボレーションしてく場が増えていく」社会になっていくでしょう。だとしたら、いざ目の前に「異質な人」が現れて、協同しないとならないとき、どうするんだろうというのが、私の疑問でした。「できるのか?」と。

もちろん学校の環境も「多文化共生」になっていくでしょう。いくつかの揃える手段を用いても、「揃えることが難しい学校・教室」が、ますます増えるのではないか。それならば、インクルーシブデザインの考えや手法を用いたプログラムは学校現場にも必要になってくる。さらには、この多様性を受け止め、多くの場面で「コーディネーター」自身も今後求められてくるのではないでしょうか。つまり、インクルーシブデザインにおけるファシリテーション力のある人もますます求められてくる。

現に「特別支援教育コーディネーター」という制度もでき、「コーディネーター」はますます増加していくことが予想される。もっと言うと、様々な立場で「コーディネーター」が増えていく中で、コーディネーター同士の協同も求められていくようになるでしょう。

現に日本は今後国際化が進み、外国人の子どもも増え、障害のある子どもの支援をより考える上でも、「多文化共生社会」をどう構築していくかは重要な課題となります。そして文部科学省も「創造性」をキーワードとして考えていることがわかります。外部のコーディネーターと協力しながら、学校経営を考えていく時代はそろそろ当たり前になるのかな、なんてことを考えていました。




企画側として、横から研究会を見ていて、参加者のみなさんは、良い意味でもやもやして帰らえた方が多いような印象を得ました。「多様性」とは何でしょうか。安斎さんが「都合の良い多様性」なんて言葉を研究会後に言っていたのが個人的には印象的でした。それぞれみなさんの中に「都合の良い多様性」が存在しているでしょうし、それこそ「多様性」のマジックワードっぷりが、この研究会で改めて認識されたと同時に、そのマジックワードによって、「もやもや」を持ち帰っていただけたのかな、と思います。私自身も自分の「もやもや」を今後の場づくりに活かしていただきたいと思いました。

みなさんの「もやもや」はどんなですか?どんなことを考えましたか?ぜひ伺ってみたいです。お越しいただいたみなさま、ありがとうございました*

安斎さんの考察もぜひぜひお読みください!

▷安斎勇樹 ポートフォリオ ≫ Ba Design Lab「多様性を活かすワークショップデザイン」実践報告
http://yukianzai.com/blog/2012/06/16/299/

2012/05/16

【参加者募集】小学生対象:*かみしばいとこうさく*ワークショップ 参加者募集


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*かみしばいとこうさく*ワークショップ
~雨の日をにこにこえがおでいっぱいにしよう~

2012年5月27日(日曜日)13時~15時
東京大学 福武ホール 福武ラーニングスタジオ1(地下2階)

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ここはえほんのせかい。

もうすぐ6月。あめがつづくきせつがやってきます。

おそとであそべなくてしょんぼり。

せんたくものがほせないおかあさんもしょんぼり。

でも、あめがだいすきなおともだちもいるよ!

…あれ、かみしばいのさいごのぺーじはまっしろです。

そうだ、あめのひがたのしくなるせかいをつくろう!


<保護者のみなさまへ>
今回のワークショップでは、紙芝居の読み聞かせと、物語の世界に沿って
参加のお子さん全員で1つのものを作る、読み聞かせと造形活動両方を兼ねた活動を行ないます。
初めて会うお友だちと関わりながら、子どもの自由な創造力・発想力を養います。
ぜひお気軽にお申し込みください。


◯日時
2012年5月27日(日曜日) 13:00~15:00(12:45分集合)

◯会場
東京大学(本郷キャンパス)福武ホール  福武ラーニングスタジオ1(地下2階)
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/index.html

◯対象
小学生(障害のある子どもさんをはじめ、小学生であれば誰でも参加できます)

◯定員
10名まで ※定員になり次第締め切ります。

◯企画
山田小百合
東京大学大学院 学際情報学府 山内研究室(学習環境デザイン論)在籍。
芸術表現における子ども同士の関わり合いの不思議をたよりに、
特別支援教育やインクルーシブ教育における学習環境デザインついて研究している。
今夏に実践・研究活動を繋ぐためのNPOを設立予定であり、現在申請準備中。
http://sayucham.blogspot.com/

◯参加費
無料

◯参加方法
以下のフォームに必要事項の入力をお願いいたします。
受付は終了しました。ありがとうございました。

◯参加にあたってのご注意
本ワークショップの様子は写真や映像で記録させて頂きます。記録した音声・映像データは個人情報がわからない形で処理し、研究にのみ利用させて頂きます。目的外使用は致しません。

◯協力
任意団体chum(代表:山田小百合)

◯ワークショップのチラシは こちら です。

2012/05/06

大学院という選択−NPOと研究のコラボレーション

ご無沙汰してます!大学院の同期が次々に内定をもらっている喜ばしい話が最近たくさん舞い込んで来ます。とはいえ私も2年前は「就活生」でもあり、大学院進学を考えていた大学4年生の4月のことを思い出していました。

大学3〜4年の頃、「社会起業家」ブームが到来しました。すでに有名なNPOや企業が注目され始めたことはもちろん、「社会貢献していきたい・社会問題を解決したい」という同世代・ワカモノがたくさんいた印象があります。そのブームが関係するのかしないのかはわかりませんが、当時、それぞれ関心を持っている社会問題にアプローチをするため、プロジェクトや任意団体・NPOを立ち上げた他大学の同級生がたくさんいました。

将来、いつか、自分の珍しいであろう経験を経て見つけた「問題」に、アプローチをしたい。同時に、当時の私にはすごくふわふわとしたアイデアがありました。でも、そのアイデアを「熱意だけで押し通すことだけは避けたい」「本当に良いというものを、しっかりとしたもので証明したい」とも考えていました。そして、「証明したものを持って、体現していきたい」とも思っていました。そのために当時の私は、「大学院に進学すれば、研究者の立場も当事者の立場もわかるし、解決方法がきっとはっきりしてくるし、良いことを上手に伝えられる人になれるだろうと思いつつ…とはいえ両親に大学院進学を切り出せず、就職活動をしていました。しかし、もやもやが晴れないまま、4月の上旬、思い切って全ての選考を中断させ、就職活動を無理やり辞めました。周りからは就職活動から逃げてるとも言われたこともありました。

私の研究は、自閉症の子どもが健常児と共に関わりあえるようなワークショップを実践し、自閉症の子どもがどう他者と関わっていくようになるかを検証する、という研究です。意外と研究としてもアプローチが難しく、数少ないこの研究を、どうしても「特別支援教育」という領域じゃない領域でチャレンジしてみたかったのですが、なかなか研究室がみつからず焦るばかりでした。

そんな中、たまたま今の研究室の安斎さんを紹介していただいたことがきっかけで、山内研の存在を知りました。
酔った安斎さんから話を聞きながら、「絶対ここだ」と思い、山内先生に早速お会いし、お話をさせていただきました。話をすればするほど、「ここしかない」と思い、その日のうちに受験を決めたことが思い出されます。当時は様々な活動をしていた中で、「研究」というものがよくわからないまま、研究計画を考えたり、受験勉強をしたり、なかなか”Hard-Fun”な生活をし、気づけば受験をし、合格をいただくことができました。本当にあっと言う間でした。あの頃の自分の学問の無知さを思い出すと、顔から火が出るほどに恥ずかしいですが(笑)。


そんな私も大学院生活2年目となりました。入学当時には全く想像がついていなかった、研究とNPO法人設立準備のいったりきたり生活を行なっています。これも、今所属している学際情報学府・ならびに山内研究室にお世話になっているからでしょう。様々な思いと、充実した大学院・研究室での生活と、何より研究している内容そのものが、気づけばライフワークに繋がっていくことになりました。

東京大学大学院学際情報学府は、面白く新しいチャレンジができる大学院であり、多様なキャリアの可能性を秘めた大学院です。「文系」「理系」という概念はなく、「学問の『際』」を攻める人たちの刺激的なコミュニティです。山内研究室(学習環境デザイン論)だけでなく、東京大学大学院学際情報学府のサイトを観ていただければわかるとおり、ここじゃないと出会えなかった研究室やさまざまなバックグラウンドや専門をもつ同期、先輩・後輩にもたくさん出会うことができました。

ここ数年で「イノベーション(innovation)」という言葉が飛び交うようになりました。これまでではまるで出くわさない領域同士のコラボレーションが、イノベーションを生み出すとしたら、この大学院にはそのようなイノベーティブな可能性も秘められているのではないでしょうか。先日のBEATセミナーで妹尾堅一郎先生がおっしゃっていたように、イノベーションは先端領域です。さまざまなバックグラウンドをもつ人たちとコラボレーションしながら、学問もコラボレーションさせて、先端領域を切り開いていけると私は思います。


この記事がお役に立てるかはわかりませんが、気になった方はぜひ一度研究室に遊びに来てみてください。毎週木曜日、毎週木曜日午後1時から3時の時間帯で、研究室訪問を受け付けているようです。研究室のHPからコンタクトをとるもよし、私(Twitter@salily1214)に直接声をかけてくださっても構いません。また、6月9日(土)には学際情報学府の入試説明会も開催されるそうです。受験生当時の私は、教育実習のため行けませんでしたが、入試説明会では幅広い研究室の研究内容がポスター展示で見られます。進学を検討していない人にとっても、非常に刺激的な機会となると思います。ぜひお気軽にお越しください。

詳細なことは山内先生のブログや先輩の安斎さんのブログにあるとおりですが、私の記事が何か参考になってくださったらと思います。

教育・学習にまつわることに興味がある人はたくさんいるなあと感じています。就職もなんだか違う。でも「大学院」もなんだか違う…そんなことを思っている人にはお勧めです。最近では大学院進学を考えている相談もよく受けるようになりました。しかし、しっくりくる研究室がみつからないという人もいるようです。そんな人は、大学生でも社会人でも、ぜひ一度、山内先生や多様な研究室メンバーとお話してみると良いと思います。





山内研究室 Blog|【おさそい】山内研究室で学んで見ませんか
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2012/05/post_374.html


安斎勇樹 Blog|就職でも起業でもない、実践的研究者という働き方
http://yukianzai.com/blog/2012/05/02/265/


東京大学大学院情報学環・学際情報学府
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/


2011年度・第4回BEAT公開研究会|「ソーシャルラーニングとこれからの人財育成」開催報告
http://www.beatiii.jp/seminar/048.html
(2011年度BEATセミナーレポートの執筆を担当しました。ありがとうございました!)




*追伸
昨日〜今日にかけて、静岡県の伊東でCHUM事務局設立集中ミーティング合宿をしてきました!その話はまた今度!

2012/02/25

【参加者募集】小学生対象:いろがみでつながるワークショップ


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*・*きもちをつたえる いろとかたち*いろがみでつながるワークショップ*・*

2012年3月3日(土曜日)13時〜15時
東京大学 工学部2号館 92B教室

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わたしたちが きもちを つたえたり
だれかの きもちを よみとるためのことば。
このことばをつたえるために「いろがみ」をつかうとしたら、
あなたは どんなふうに ひとと つながりますか。

いろがみを きったり はったり しながら、
お友だちのいろがみことばにじぶんのことばをくっつけていくと、
ふしぎな大きな絵ができあがるよ!

お友だちが 作った おりがみことばに、じぶんのいろがみことばで おへんじを しながら、
大きくてふしぎな絵を いっしょに 作ってみよう♫


<保護者のみなさまへ>
今回のワークショップでは、色紙を使った連想ゲームを行ないます。
初めて会うお友だちの作品に刺激されながら、そのイメージを思い浮かべ、さらに新しい作品を紡いでいきます。
イメージを見つけたり、形を作ったり、物語をつないだりしながら、子どもの自由な創造力・発想力を養います。
ぜひお気軽にお申し込みください。


◯企画・ファシリテーター
山田小百合
東京大学大学院 学際情報学府 山内研究室(学習環境デザイン論)在籍。
芸術表現における子ども同士の関わり合いの不思議をたよりに、
特別支援教育やインクルーシブ教育における学習環境デザインついて研究している。
今夏に実践・研究活動を繋ぐためのNPOを設立予定であり、現在申請準備中。


◯日時
2012年3月3日(土) 13:00~15:00(12:45分集合)

◯会場
東京大学(本郷キャンパス)工学部2号館
※12:45までに建物の前までお越しください。

◯対象
小学生(障害のある子どもさんをはじめ、小学生であれば誰でも参加できます)

◯定員
10名まで ※定員になり次第締め切ります。

◯参加費
無料

◯参加方法
以下のフォームに必要事項の入力をお願いいたします。

◯参加にあたってのご注意
本ワークショップの様子は写真や映像で記録させて頂きます。記録した音声・映像データは個人情報がわからない形で処理し、研究にのみ利用させて頂きます。目的外使用は致しません。

◯協力
今回のワークショップは、アーティストの安斎利洋さんと中村理恵子さんのワークショップを参考に企画をさせていただいております。ありがとうございます!
マチスましーん:http://cambrian.jp/matissemachine/

2012/02/13

【実践報告】「インクルーシブデザインワークショップ:”ために”から”ともに”へ向かうデザイン」が終了しました!


2月6日に「インクルーシブデザインワークショップ:”ために”から”ともに”へ向かうデザイン」というイベントを開催しました。



インクルーシブデザインとは、高齢者や障害のある人など、特別なニーズを抱えるユーザがデザインプロセスに参加することでイノベーションを目指すデザイン手法です。

今回のこの実践は、研究室の先輩である安斎勇樹さんと、京都大学の塩瀬隆之先生、水町衣里さんとの共同研究として行いました。安斎さんのブログで当日のことがわかりやすくレポートされておりますので、当日のことはぜひこちらを読んでいただけたらと思います。
そして、今年の教育工学会(@長崎大学)で、今回のインクルーシブデザインワークショップで何が起こっていたかを発表できたらと思っております。どうぞお楽しみに!



私は何をレポートしようかなと思ったのですが、率直におもしろいなと思ったことをつらつらとお伝えしようと思っています。

インクルーシブデザインワークショップは、塩瀬先生(京都大学)を始め、九州大学の平井康之先生も実践されております。そもそもインクルーシブデザインワークショップも数多く実践されてはいませんが、お二人も西の方なので、意外と東のほうで実践されたことはあまりなかったようで、参加募集をかけたところ、一晩で定員を越えるお申込みをいただきました。さらに今回はリードユーザーさん(今回は見えない方5名)も含め、関東以外の方もいらっしゃったくらいです。これは本当に驚き。そして会場はおかげさまでぎゅうぎゅうでした。(すいません)


さらに驚いたことに、リードユーザーさん5名のうち、3名が盲導犬と一緒にいらっしゃいました。こちらは1名の方のみ盲導犬と一緒に来ることを事前にお知らせいただいていたので、まさか3匹になるとは…!塩瀬先生曰く、「盲導犬は一都道府県に20匹弱だから、3匹も同じ場所に集まるのは盲導犬協会以外では、どえらい珍しい現象」とのこと。そして福武ホールに犬が来るなんてことも初めてなのでは…。定員もかなりギリギリのなかのワークショップで、わんこちゃんたちにも窮屈な思いをさせてしまい申し訳ないなあと思っていたのですが、やっぱり盲導犬は優秀で、ずっとおとなしくしていました。可愛かったなあ。


ワークショップが始まってからのグループワークは、どのグループも活発で、見ているこちらが楽しみました。

今回のテーマは「絆創膏のデザイン」です。絆創膏1つを考えるだけでも実はとても深いのだなと思いました。

まずは行動観察。見える人も自分の絆創膏を使う行為をこれほどに観察して考えたことは無いでしょう。例えば怪我をした時に使いやすいかどうか、こういうものがあったらいいなということを考え、共有します。また、例えば、見えない人にとって、絆創膏の箱が「お菓子の箱なのか、触っているだけでは何の箱なのかわからない」という意見も出たりして、絆創膏一つとっても、いろいろな課題が見つかることがわかります。そしてグループメンバーの意見をまとめ、アイデアを共有します。


次にアイデアを実際に形にします。画用紙や絆創膏の箱、お菓子の箱などを使って、簡単な「試作品もどき」を作ります。プロトタイピングです。

そして最後にプレゼンテーション。演劇形式でプレゼンテーションを実施してくれるグループもあり、思った以上に盛り上がりました。


終了後は懇親会として、お話ししたい人は会場に残ってお話ししてもらうようにしましたが、みなさんなかなか帰らずワークショップ後も盛り上がっていたようでした。



インクルーシブデザインや、こうして目の見えない方を招いてワークショップをすると、なんとなく福祉色の強いように思われますが、デザインプロセスの大部分にユーザを巻き込む特徴的な手法は、クリエイティブなアイデアをデザイナにもたらすだけではなく、デザイナとユーザのあいだに共通言語を生み出す過程でもある(塩瀬ほか 2010)。と言われているように、この「インクルーシブデザイン」はもともと「ユーザー参加型デザイン」の考えに基づいていると考えられます。

これまでは「一般化されたユーザー像」を一方的にイメージし、そこに理想的・合理的な行為が仮定されてプロダクトが生み出されることが多くありました。すると、実在のユーザーが選択する行為との間に開きが生まれます。理想的なユーザー像を生み出す側が、一方的に頭の中で考え生み出されたプロダクトも、想像していたように使われないという残念なことも起こりうるでしょう。プロダクトを生み出す側にとっても、利用する側にとってもこれは悲しいことで、まさにディスコミュニケーションが生まれていると言っていいのではないかと思います。


こういったことが福祉の場面ではよく指摘されます。例えば点字ブロックもとりあえず設置すればいいという問題ではなく、ユーザーを一方的にイメージした設置によって、逆に事故を起こす原因にもなったりします。これでは本末転倒です。

そもそも「ユニバーサルデザイン(UD)」と「インクルーシブデザイン」の違いは何なのかということをよく尋ねられるのですが、その違いを体感できるのが、このインクルーシブデザインワークショップです。ユニバーサルデザインは、まさにある理想のユーザー層に向けてのデザインと言えます。実際に使う人との対話がないまま、一方的にデザインされたものが多かったのかもしれません。インクルーシブデザインが「ポストユニバーサルデザイン」と言われるように、デザインそのものの考え方も変化してきていると言えるのではないでしょうか。

ニーズを表現する『言葉』は、ユーザーがあらかじめもっているものでもなければ、デザイナやエンジニアの専門用語から誘導された言葉でもない(塩瀬ほか 2010)という指摘の通り、ユーザーのニーズはそれぞれ異なります。その言葉をまず共有することが、「ユーザー参加型デザイン」であり「インクルーシブデザイン」なのでしょう。

今回実施してみて、グループでのディスカッションも揺さぶられているようで非常に面白く、絆創膏のアイデアも様々でした。クリエイティブなアイデアを生み出す手法であることはもちろん、デザイナーとユーザーの間の共通言語を生み出す可能性を示してくれたように感じました。

そういう意味でも、今回のワークショップは安斎さんが研究テーマとしている創造性や創発的コラボレーションと、私の研究テーマであるインクルーシブ教育(実践)を足して2で割ったようなワークショップでした。



参加していただいたみなさんには、塩瀬先生の「おもろいファシリテーション」も体感できたことと思います!笑いが絶えずとても良い雰囲気で行なうことができたことが何より嬉しかったです。ご参加いただいたみなさま、ほんとうにありがとうございました!

*参考文献
塩瀬隆之, 鍵山康尋, 小林大祐, 水町衣里, 川上浩司(2010)インクルーシブデザインによる観光コンテンツの開発. 人工知能学会全国大会論文集(24).

2012/01/20

インクルーシブデザインワークショップ:”ために”から”ともに”へ向かうデザイン 参加者募集

※募集は締め切りました。ありがとうございました!

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インクルーシブデザインワークショップ:"ために"から"ともに"へ向かうデザイン

2012年2月6日(月曜日)11時30分〜17時
東京大学 情報学環・福武ホール B2F 福武ラーニングスタジオ1
===================================================

近年、様々なイノベーションの手法や新しいデザインの手法が模索されている中で、
「インクルーシブデザイン」という考え方が注目を集めています。

インクルーシブデザインとは、高齢者や障害のある人など、特別なニーズを抱える
ユーザがデザインプロセスに参加することでイノベーション(社会の革新)を目指す
デザイン手法です。

専門家だけではなく、多様な個性や能力を持つユーザーが製品やサービスの開発プロ
セスに参加することで、デザインはより幅広く、魅力的で、私たちの暮らしに変化を
もたらすことが期待されます。

どんな人にとってもやさしく、使いやすい製品やサービスが存在するに越したことは
ありませんが、<助ける人―助けられる人>という一方的な支援関係のままでは、デザ
イナーの先入観を越えるようなデザインの革新は生まれません。
"ために"から"ともに"へ、ユーザーの位置づけが変わらなければ、ユーザーから導か
れる言葉もまたデザイナーの価値観を揺さぶるほどの力をもつことはないのです。

今回のワークショップでは、コミュニケーションデザインの専門家である京都大学
の塩瀬隆之先生をゲストにお招きし、インクルーシブデザインプロセスを体験しな
がらその考え方を学びます。

イノベーションやデザインの手法に関心がある方、お気軽にお申し込み下さい!


○ゲスト
塩瀬隆之さん(京都大学総合博物館 准教授)
黙して語らず、されど師匠から弟子に伝わる技の伝承から始まり、視覚に障害のある
人との言葉でみる美術鑑賞まで、一見して難しそうなコミュニケーションの研究を通
じて、「伝わるとはなにか」の本質に関心をもつ。現在、高齢者や障害のある人をも
のづくりプロセスに巻き込むインクルーシブデザインのワークショップを50回以上重
ね、「ために」から「ともに」へと社会が変わるコミュニケーションの場づくりを実
践する。立場や能力、文化の異なる人々が、お互いを高めあい、豊かに成長できる社
会づくりの作法を学ぶ上で、インクルーシブデザインの手法が示唆に富むとして、そ
の紹介を続けている。


○企画・運営
安斎勇樹(東京大学大学院 学際情報学府 山内研究室 博士課程)
1985年生まれ。東京都出身。私立武蔵高校、東京大学工学部卒業。
実践活動と連携しながら創造性とワークショップデザインについて研究している。

山田小百合(東京大学大学院 学際情報学府 山内研究室 修士課程)
1988年生まれ。 大分県出身。日本女子大学家政学部家政経済学科卒業。研究テーマ
はインクルーシブ教育における学習環境デザイン。障害のある子どもの交流及び共同
学習を促す芸術活動のワークショップについて研究している。今夏に実践・研究活動
を繋ぐためのNPOを設立予定であり、現在登記準備中。


○日時
2012年2月6日(月曜日)11時30分〜17時(11時15分開場)
※当日はランチやドリンクをこちらでご用意致します。

○場所
東京大学 情報学環・福武ホール B2F ラーニングスタジオ1
※会場まで直接お越し下さい。

○定員
16名 ※定員になり次第締め切ります。

○参加費
1000円(ランチ・ドリンク代として)

○参加方法
※募集は締め切りました。

対象テーマに関心のある方であれば、どなたでもご参加ください。

○参加にあたってのご注意
本ワークショップの様子は写真や映像で記録させて頂きます。
写真記録はブログなどで実践報告として掲載する場合があります。

○主催・共催
主催:東京大学大学院 学際情報学府 山内研究室
共催:INCLUSIVE DESIGN NOW 実行委員会・京都大学総合博物館

2012/01/14

博士課程に進学するのをやめました。どうやらNPOを設立します。

ご無沙汰してます。まずは新年のご挨拶を。
2012年もどうぞよろしくお願いします。

2011年を振り返るときに、ふとディズニーランドのスペースマウンテンに最初で最後に乗った時のことを思い出しました。(大学1年のときに初めて行って以来、ランドには行ってないのだけど。)
真っ暗な中で、突然見えない乗り物が、想像以上のスピードで走り出す。どこに転がるかわからないまま、速度だけは落ちないどころか速くなり、自分の位置を把握できず、気づけば止まってた。
うん、2011年のさゆちゃむは、スペースマウンテンに乗った気持ちです。

大学4年間のときとは明らかに違う経験をさせてもらった1年でした。
1〜3月は卒論を書いていて、山内研究室のM0発表会をやって、そのあとのALT合宿。返ってきて次の日@s_twtyとのタイ旅行予定のはずが、断念。
記憶に新しい東日本大震災のその日その時間、成田空港にいたので、まさに空港難民でした。
そのあとの生活は怒涛の日々でした。

マルチタスクという観点ではかなりマルチではなくなりました。映画とワークショップとカタリバと卒論と教育実習と院試の勉強と…とかいう日々だった去年よりはかなりシンプルタスクです。
「最近おまえ、何やってんの?」と学部時代に知り合っていた友人・知人に聞かれても「研究と授業…」としか答えられなかった。今もそうなのですけどね。

2010年のマルチタスクっぷりときたら、当時の私のなかの史上最強だと思っていたけれど、感覚としては余り変わらないどころか、むしろ今マルチじゃないこの生活のほうがはるかに息切れの連続でした。脳みそがぜーはーぜーはー言っている気がします。

現在、障害のあるこども(今の研究では主に自閉症児、知的障害児を指す)とそうでない子どもが学び合う、芸術活動をとりこんだワークショップについて研究をしています。(2012年1月現在。笑)

大学院生活はこの研究を大きな柱としながらも、さまざまな小さな要素が絡み集まっていて、それらを同時並行で走らせているような生活です。それが辛いと言うより、その一つ一つに対して脳みその使い方が違うというか、今まで使ったことない使い方をしているんですよね。ラジオでも言ったけど、身体も脳も両方が汗かいてるんです。
結果が出ないんじゃないかと思って苦しい思いをするのだけど、それはそれで充実してます。息抜きも一応してる。

そんなわけで、先日@VJtakaさんのネットラジオ番組に、約2年ぶりに出演しました。
http://voicejapan.tv/
番組アーカイブです。150人以上の方が見てくれていて嬉しい。よかったらぜひ。
http://www.ustream.tv/recorded/19137437

その時に、こういうことをお知らせしたのだけど、そう。

今年の夏を目標に、NPOを立ち上げることになりました。
今の研究を、人に直接届けるための、特定非営利活動法人を設立します。
もちろん、私が設立するので、私が代表理事です。

つまり、博士課程に進学するのを、やめました。



大学院進学で山内研究室にお世話になることが決まった時、ここの研究室で面白い成果を出して、博士課程でもお世話になって、博士をとったら(またはその途中)で何か組織を立ち上げて研究を届けたい。
そのつもりで大学院生活を送っていました。入試のとき、「博士課程に進学希望です」と言ったことは本心でした。

私の研究は、いわゆる「インクルーシブ教育」の中に位置づけられます。(この概念が大きすぎるので、本当はもっと小さいものにしたいのだけど、いい文言が見つからず。つくっちゃおうかな。)
多様なバックグラウンドをもつ人が、ある1つの場所に集まり、その中で「何かを学ぶ」というもの。
海外では障害の有無にかかわらず、文化や国籍、宗教や家庭環境など、「さまざまなバックグラウンド」の違う子どもが同じ場で学ぶということが起こりやすいため、この「インクルーシブ教育」という考え方が浸透しています。世界的な動きもあり、障害のある子どもも、他のこどもと離れっぱなしじゃなくて、一緒にできる学習や活動は一緒にしていこうねという考え方となり、学校現場や学習環境、制度も変化してきています。
いわゆる「特別支援学校(学級)」も、次第に減少してきているのです。

ところが現在の日本をみると、世界の動きと逆行し、「特別支援学校(学級)」は増加傾向にあります。重度の子どもはもちろんのこと、ちょっと気になる傾向にあるとすぐ距離をおく傾向にあります。今、日本では世界と逆行しているようなことが、メインストリーミングになってきています。

「一人ひとりのニーズに合わせた教育」という観点では、2つは同じ理念を持っているはずなのですが、現実をみると、始点の位置はほぼ同じなのだけど、同じ方向にベクトルが向いていない様子です。



こうした現実に直面しているさなか、私がこのまま「インクルーシブ教育研究」を行うとして、博士をいただいたとしても、現実的に就職先はないでしょう。
かといって、人生を賭けに大学院進学を決めたところもあり、今更就職活動をする気なんてさらさらなかった。

そこで、先生がご提案をしてくれたのが、NPOという第3の道でした。

1ヶ月、多くの人にご相談させていただきました。
何より、プロジェクトマネジメントやリーダーシップなど、そういうことを経験することが多かった私は、今は研究活動に没頭したかった。もう何かをマネジメントすることはいっときおやすみでいいと思っていたのです。地道に頭を使うこと、トレーニング期間のつもりで修士課程にきた。だから、余計なことはしないつもりだった。

そんななか、またマネジメントについて考えるときがきました。
NPOやります!となると、いわゆる会社を立ち上げることに変わりはないので、人生に関わる、私が生きていく上での大きな決断になる。
とはいえいきなり「NPOやります!」と言った所で、団体としてのビジョンや方向性は、もちろんない。

しかし、多くの人が、私の研究を応援してくれるという立場で「絶対にやったほうがいい」「さゆちゃんだからこそできるんだから」「協力するよ」と、背中を押してくれる言葉をかけてくれました。
多分、博士課程に進学するタイミングだと、こんなに声をかけてくれる人はいなかったと思う。
そして、現在も山内先生を始め、NPOをやってる友人知人や恩人などなど、いわゆる「せんぱい」がいろいろ教えてくれる。

人生はタイミングというけれど、こういうことなのかもしれないなって、1ヶ月悩んで、やってみるか。と決断しました。

つまり、博士課程には進学しない。そのかわりにNPOで研究と実践をすることになります。



研究は大学院でするものだと思われていますが、アメリカなどではPh.Dを取得したのち、NPOで働く人も多いらしいんですよね。NPOが研究機関として成り立っていたり。
そのようなモデルを参考にしながら、今のように、研究活動を継続させる形になるでしょう。

何かしら実践現場をもちながら、研究活動と実践活動を並行して、組織の中でもがいて、多くの人を巻き込んで、声を聴いて、そうした相互作用の中で新しい学びの場をみつけて、生み出して、多くの人に届けたい。
それが、実践だったり、論文だったり、本だったり、声だったり、なんでもいいのだけど、わざわざ人生賭けて研究しに来てるのだから、実践だけでもいやで。かといって、論文だけでもどうせいやなんだから、両方できるNPOを作ればいい。そこを私のLabにすればいい。そう考えて今準備しています。多分、この分野、新しく開拓しないときっと難しいんだと思うんです。笑 (いわゆる破壊的イノベーションかも。言い過ぎか。)

そうとは言っても、大学院での研究も未練たらたらなんですよね。笑 だって、先々は大学で教鞭とりたいと思っていたのだから。
でも、先々組織が落ち着いてきたら、研究も溜まってきて私の目も養われているはずなので、そのあと博士課程にお世話になるかもしれない。それに、もしかしたらこのまま論文を出し続けて、博士課程に進学せずとも業績が認められて、大学で教鞭をとることがあるかもしれない。
NPOやそれにまつわる新しい分野のことも教鞭とれるようになりますしね。



どんな人にも、かけがえのない大切な人がいて、支えあったりとか
どんな人からも、おもしろい気付きを得たりとか
何者かわからない人と、何かを分かり合った時とか
それに障害があるとかないとか、関係なく、みんなこういうことがあるはず。

そういう「なにか」を言葉にしたい。共感できる感情をシェアするに留めるのではなくて、研究活動は、そういう「届けるべきものを具体的な言葉にする」という大切な活動であると思います。
それは、理系だとか文系だとか、分野が何だとか、関係ない。


わからないことを組織で探していく。そういう研究発展型NPOにしてゆくことになりそうです。

今まで出てきたNPOとはまた違う、研究者としての強みを生かした、日本では新しいNPOのスタイルになると思います。
NPOという存在がこれだけ注目されてる現代において、NPOを立ち上げるということは決して楽ではないですが、NPOという組織における可能性の広がり方は凄まじいものだと想像しています。


とはいえ、まだまだ白紙の状態です。現在行っている勉強会 S.inc の仲間内でミーティングしたりしているところです。



スケジュールとしては、今年の夏に団体が出来上がってる状態です。そのスケジュール感だと、4月には申請を出すことになります。
そしてその後は修士論文を執筆し、そのまま卒業。来年大学院を卒業したら、本格的にNPO代表理事の生活になる予定です。


とにかく、今の研究活動が、持続的に出来る環境に身をおくための、そして、研究を届けたい人へ届けるための最善の選択なのかなと思っています。


山内研究室を知った時に、先生が大学院で研究と指導と並行してNPOをもっているという働き方を同時に知って、「そう、こんなふうに働きたいんだ!」と思っていたので、山内研究室の一員なのがほんとうに嬉しい。学びにあふれていて、私自身いいなと思うことはどんどん盗もうとしている。今までの学びは本当に生ぬるかったのかもと思うくらい、日々気付きがあふれています。
憧れの働き方に一歩近づくことにもなるし、直接ご指導していただけるので、こんな幸せなことはないのかもしれないですね。

と、考えてるのもきっと束の間。きっと、これからが大変になる。
研究者である人の、創職とはこういうことかも。
研究者の働きかたとして、新しいロールモデルのなれるといいなあ。

きっと足りないこともあるでしょうが、ぜひ、叱咤激励ご支援のほど、よろしくお願い致します!

NPOの名前、早く決めたいな♫

山田小百合