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2012/01/14

博士課程に進学するのをやめました。どうやらNPOを設立します。

ご無沙汰してます。まずは新年のご挨拶を。
2012年もどうぞよろしくお願いします。

2011年を振り返るときに、ふとディズニーランドのスペースマウンテンに最初で最後に乗った時のことを思い出しました。(大学1年のときに初めて行って以来、ランドには行ってないのだけど。)
真っ暗な中で、突然見えない乗り物が、想像以上のスピードで走り出す。どこに転がるかわからないまま、速度だけは落ちないどころか速くなり、自分の位置を把握できず、気づけば止まってた。
うん、2011年のさゆちゃむは、スペースマウンテンに乗った気持ちです。

大学4年間のときとは明らかに違う経験をさせてもらった1年でした。
1〜3月は卒論を書いていて、山内研究室のM0発表会をやって、そのあとのALT合宿。返ってきて次の日@s_twtyとのタイ旅行予定のはずが、断念。
記憶に新しい東日本大震災のその日その時間、成田空港にいたので、まさに空港難民でした。
そのあとの生活は怒涛の日々でした。

マルチタスクという観点ではかなりマルチではなくなりました。映画とワークショップとカタリバと卒論と教育実習と院試の勉強と…とかいう日々だった去年よりはかなりシンプルタスクです。
「最近おまえ、何やってんの?」と学部時代に知り合っていた友人・知人に聞かれても「研究と授業…」としか答えられなかった。今もそうなのですけどね。

2010年のマルチタスクっぷりときたら、当時の私のなかの史上最強だと思っていたけれど、感覚としては余り変わらないどころか、むしろ今マルチじゃないこの生活のほうがはるかに息切れの連続でした。脳みそがぜーはーぜーはー言っている気がします。

現在、障害のあるこども(今の研究では主に自閉症児、知的障害児を指す)とそうでない子どもが学び合う、芸術活動をとりこんだワークショップについて研究をしています。(2012年1月現在。笑)

大学院生活はこの研究を大きな柱としながらも、さまざまな小さな要素が絡み集まっていて、それらを同時並行で走らせているような生活です。それが辛いと言うより、その一つ一つに対して脳みその使い方が違うというか、今まで使ったことない使い方をしているんですよね。ラジオでも言ったけど、身体も脳も両方が汗かいてるんです。
結果が出ないんじゃないかと思って苦しい思いをするのだけど、それはそれで充実してます。息抜きも一応してる。

そんなわけで、先日@VJtakaさんのネットラジオ番組に、約2年ぶりに出演しました。
http://voicejapan.tv/
番組アーカイブです。150人以上の方が見てくれていて嬉しい。よかったらぜひ。
http://www.ustream.tv/recorded/19137437

その時に、こういうことをお知らせしたのだけど、そう。

今年の夏を目標に、NPOを立ち上げることになりました。
今の研究を、人に直接届けるための、特定非営利活動法人を設立します。
もちろん、私が設立するので、私が代表理事です。

つまり、博士課程に進学するのを、やめました。



大学院進学で山内研究室にお世話になることが決まった時、ここの研究室で面白い成果を出して、博士課程でもお世話になって、博士をとったら(またはその途中)で何か組織を立ち上げて研究を届けたい。
そのつもりで大学院生活を送っていました。入試のとき、「博士課程に進学希望です」と言ったことは本心でした。

私の研究は、いわゆる「インクルーシブ教育」の中に位置づけられます。(この概念が大きすぎるので、本当はもっと小さいものにしたいのだけど、いい文言が見つからず。つくっちゃおうかな。)
多様なバックグラウンドをもつ人が、ある1つの場所に集まり、その中で「何かを学ぶ」というもの。
海外では障害の有無にかかわらず、文化や国籍、宗教や家庭環境など、「さまざまなバックグラウンド」の違う子どもが同じ場で学ぶということが起こりやすいため、この「インクルーシブ教育」という考え方が浸透しています。世界的な動きもあり、障害のある子どもも、他のこどもと離れっぱなしじゃなくて、一緒にできる学習や活動は一緒にしていこうねという考え方となり、学校現場や学習環境、制度も変化してきています。
いわゆる「特別支援学校(学級)」も、次第に減少してきているのです。

ところが現在の日本をみると、世界の動きと逆行し、「特別支援学校(学級)」は増加傾向にあります。重度の子どもはもちろんのこと、ちょっと気になる傾向にあるとすぐ距離をおく傾向にあります。今、日本では世界と逆行しているようなことが、メインストリーミングになってきています。

「一人ひとりのニーズに合わせた教育」という観点では、2つは同じ理念を持っているはずなのですが、現実をみると、始点の位置はほぼ同じなのだけど、同じ方向にベクトルが向いていない様子です。



こうした現実に直面しているさなか、私がこのまま「インクルーシブ教育研究」を行うとして、博士をいただいたとしても、現実的に就職先はないでしょう。
かといって、人生を賭けに大学院進学を決めたところもあり、今更就職活動をする気なんてさらさらなかった。

そこで、先生がご提案をしてくれたのが、NPOという第3の道でした。

1ヶ月、多くの人にご相談させていただきました。
何より、プロジェクトマネジメントやリーダーシップなど、そういうことを経験することが多かった私は、今は研究活動に没頭したかった。もう何かをマネジメントすることはいっときおやすみでいいと思っていたのです。地道に頭を使うこと、トレーニング期間のつもりで修士課程にきた。だから、余計なことはしないつもりだった。

そんななか、またマネジメントについて考えるときがきました。
NPOやります!となると、いわゆる会社を立ち上げることに変わりはないので、人生に関わる、私が生きていく上での大きな決断になる。
とはいえいきなり「NPOやります!」と言った所で、団体としてのビジョンや方向性は、もちろんない。

しかし、多くの人が、私の研究を応援してくれるという立場で「絶対にやったほうがいい」「さゆちゃんだからこそできるんだから」「協力するよ」と、背中を押してくれる言葉をかけてくれました。
多分、博士課程に進学するタイミングだと、こんなに声をかけてくれる人はいなかったと思う。
そして、現在も山内先生を始め、NPOをやってる友人知人や恩人などなど、いわゆる「せんぱい」がいろいろ教えてくれる。

人生はタイミングというけれど、こういうことなのかもしれないなって、1ヶ月悩んで、やってみるか。と決断しました。

つまり、博士課程には進学しない。そのかわりにNPOで研究と実践をすることになります。



研究は大学院でするものだと思われていますが、アメリカなどではPh.Dを取得したのち、NPOで働く人も多いらしいんですよね。NPOが研究機関として成り立っていたり。
そのようなモデルを参考にしながら、今のように、研究活動を継続させる形になるでしょう。

何かしら実践現場をもちながら、研究活動と実践活動を並行して、組織の中でもがいて、多くの人を巻き込んで、声を聴いて、そうした相互作用の中で新しい学びの場をみつけて、生み出して、多くの人に届けたい。
それが、実践だったり、論文だったり、本だったり、声だったり、なんでもいいのだけど、わざわざ人生賭けて研究しに来てるのだから、実践だけでもいやで。かといって、論文だけでもどうせいやなんだから、両方できるNPOを作ればいい。そこを私のLabにすればいい。そう考えて今準備しています。多分、この分野、新しく開拓しないときっと難しいんだと思うんです。笑 (いわゆる破壊的イノベーションかも。言い過ぎか。)

そうとは言っても、大学院での研究も未練たらたらなんですよね。笑 だって、先々は大学で教鞭とりたいと思っていたのだから。
でも、先々組織が落ち着いてきたら、研究も溜まってきて私の目も養われているはずなので、そのあと博士課程にお世話になるかもしれない。それに、もしかしたらこのまま論文を出し続けて、博士課程に進学せずとも業績が認められて、大学で教鞭をとることがあるかもしれない。
NPOやそれにまつわる新しい分野のことも教鞭とれるようになりますしね。



どんな人にも、かけがえのない大切な人がいて、支えあったりとか
どんな人からも、おもしろい気付きを得たりとか
何者かわからない人と、何かを分かり合った時とか
それに障害があるとかないとか、関係なく、みんなこういうことがあるはず。

そういう「なにか」を言葉にしたい。共感できる感情をシェアするに留めるのではなくて、研究活動は、そういう「届けるべきものを具体的な言葉にする」という大切な活動であると思います。
それは、理系だとか文系だとか、分野が何だとか、関係ない。


わからないことを組織で探していく。そういう研究発展型NPOにしてゆくことになりそうです。

今まで出てきたNPOとはまた違う、研究者としての強みを生かした、日本では新しいNPOのスタイルになると思います。
NPOという存在がこれだけ注目されてる現代において、NPOを立ち上げるということは決して楽ではないですが、NPOという組織における可能性の広がり方は凄まじいものだと想像しています。


とはいえ、まだまだ白紙の状態です。現在行っている勉強会 S.inc の仲間内でミーティングしたりしているところです。



スケジュールとしては、今年の夏に団体が出来上がってる状態です。そのスケジュール感だと、4月には申請を出すことになります。
そしてその後は修士論文を執筆し、そのまま卒業。来年大学院を卒業したら、本格的にNPO代表理事の生活になる予定です。


とにかく、今の研究活動が、持続的に出来る環境に身をおくための、そして、研究を届けたい人へ届けるための最善の選択なのかなと思っています。


山内研究室を知った時に、先生が大学院で研究と指導と並行してNPOをもっているという働き方を同時に知って、「そう、こんなふうに働きたいんだ!」と思っていたので、山内研究室の一員なのがほんとうに嬉しい。学びにあふれていて、私自身いいなと思うことはどんどん盗もうとしている。今までの学びは本当に生ぬるかったのかもと思うくらい、日々気付きがあふれています。
憧れの働き方に一歩近づくことにもなるし、直接ご指導していただけるので、こんな幸せなことはないのかもしれないですね。

と、考えてるのもきっと束の間。きっと、これからが大変になる。
研究者である人の、創職とはこういうことかも。
研究者の働きかたとして、新しいロールモデルのなれるといいなあ。

きっと足りないこともあるでしょうが、ぜひ、叱咤激励ご支援のほど、よろしくお願い致します!

NPOの名前、早く決めたいな♫

山田小百合

2 件のコメント:

  1. 特別支援学校に友達が勤めてて、話聞きたいのだ!またのもうぜよ!

    うぉーりー

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  2. うぉーりー
    ありがとう!おひさしぶり!
    わーぜひぜひ!高円寺飲みやろうず!高円寺じゃなくてもいいけど笑

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